薬膳と中医学

中国の哲学思想→中医学→薬膳

『医食同源』という言葉はご存知ですか?

よく耳にする言葉ですが、食べ物には薬と同じような作用があり、日々の食事で病気を予防・治療するという考え方のことで、中国には同じような意味として、『薬食同源』という言葉があります。

体質や体調などに合わせた食事を食べる

薬膳は、まさに薬食同源をあらわす療法のことで、中医学がベースとなっています。

中医学とは、4000年という長い歴史に裏付けされた中国の伝統医学のことで、「人は常に自然界の気候などの影響を受けている」という哲学思想がベースになっています。

つまり、中国の哲学思想が「中医学」のベースになっていて、その中医学の治療法のひとつが「薬膳」というわけです。

不自然な生活習慣を見直すのに欠かせない学問

中医学の基本となるのは、「整体観」「弁証論治」「陰陽五行」「五臓六腑」「気・血・津液」などといった独自の考え方です。

本来、人間の体は自然条件に合わせて変化し、バランスを保つような仕組みになっています。
バランスが保たれていれば健康でいられますが、時としてバランスを崩すこともありますし、年齢の変化などに応じバランスを保っていられるよう、自然と食事や生活の中で工夫してきました。

朝になったら起き、昼間は体を動かして働き、夜になったら寝る―

ひと昔前であればごくごく当たり前の生活ですが、今はこうした生活が当たり前でなくなってしまったことで(私も含め)、体にも心にもトラブルを抱えるようになってしまったのです。

不規則な生活が朝起きるのがつらくなる

中医学は、食生活も含めた現代人にありがちな不自然な生活習慣を見直すのには欠かせない学問です。

「人は自然の一部であり、自然に沿って生きることで病気を防ぎ、いつも健康でいられる」

漢方は中医学がベースとなった日本独自の医学のこと

ちなみに、日本では薬膳よりなじみのある「漢方」や「漢方薬」。
東洋の伝統医学の総称として日本では使われていますが、中国では漢方といえば日本の伝統医学のことを指しています。

もともとは、江戸時代後期に日本へ入ってきたオランダ医学のことを「蘭方(らんぽう)」と呼んだことから、それまで行われていた中医学がベースとなった日本独自の医学のことを「漢方」と呼ぶようになったのが始まりなんです。

「薬膳」という言葉も日本でつくられた造語で、中国では普段の食生活そのものが薬膳ではありますが、薬膳という言葉は使われていないのです。

by.はた坊@川端